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『プラごみ問題』~富山県のエコバッグ持参率は全国一位です。~
◎海洋プラスチックごみ問題
今年2019年6月29日に大阪で開催されていたG20サミットが閉幕しました。
最近特に問題視されている海洋プラスチックごみ問題は、主要テーマとして話し合われました。
新たな海洋プラスチック汚染を2050年までにゼロにする事を目指す『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』を共有して、プラスチックごみの海洋流出を減らし、世界の汚染削減を目指すことで、一応の合意は得られたとされている一方、2050年では遅すぎる、対策が不十分だという多くの意見も取り上げられています。
では、海洋プラスチックごみ問題は、現在どのような状況なのでしょうか?
◎海岸での漂着ごみの事例
日本の海は比較的キレイなことで知られています。
しかし、最近のニュースでもプラごみ問題は深刻で、クジラや魚、海鳥など海の生物の胃の中から大量のプラごみが出てきたというニュースもよく目にするようになりました。また東南アジアの海岸に大量のプラごみが漂流している報道もよく目にします。日本人も他人事ではない危機感を持つ必要があります。
海岸での漂着ごみにより想定される被害は次の通りです。
・生態系を含めた海洋環境への影響
・船舶航行への障害
・観光・漁業への影響
・沿岸域居住環境への影響
近年では、海洋中のマイクロプラスチック※が生態系に及ぼす影響が特に懸念されています。
※サイズが5mm以下の微細なプラスチックごみのこと
◎陸上から海洋に流出した『1年間のプラスチックごみ発生量のランキング』
※環境庁HP『海洋プラスチックごみ問題について』より引用。(2010年推計)
1位 中国 132~353万t
2位 インドネシア 48~129万t
3位 フィリピン 28~75万t
4位 ベトナム 28~73万t
5位 スリランカ 24~64万t
上位は、ほぼアジア圏が占めています。
アメリカは20位で 4~11万t、日本は30位で2~6万tというデータが出ています。
2010年推計のランキングですので、現在は変動があると思いますが、9年たった今、ゴミの量がより増加していることは間違いありません。
海洋プラスチックによる海洋汚染は地球規模で広がっており、北極や南極でもマイクロプラスチックが観測されたとの報告もあります。
◎持続可能な開発目標(SDGs)
持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの1つとして『2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する』が掲げられています。
それに向けて、日本国内でも海洋プラスチック問題に関する様々な取り組みが行われています。
【2018年6月15日『海岸漂着物処理推進法改正』が成立】
・目的の改正として、海洋環境の保全の観点等が追加されました。
・「漂流ごみ等が追加され、漂流ごみ等の円滑な処理が推進されています。
・3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進等により、海岸漂着物等の発生を抑制する。
・マイクロプラスチック対策として、事業者による使用の抑制・排出の抑制を努力義務として課す。
・政府によるマイクロプラスチックの抑制のための施策の在り方について、速やかな検討及びその結果に基づき措置を講じることを規定。
・国際的な連携の確保と、国際協力を推進する。
【2018年6月19日『第4次循環型社会形成推進基本計画』が閣議決定】
・資源、廃棄物の制約、海洋ごみ対策、地球温暖化対策等の幅広い課題に対応する。
・中国等による廃棄物の禁輸措置に対応した国内資源の循環体制を構築し、持続可能な社会を実現する。
・次世代に豊かな環境を引き継いでいくため、再生不可能な資源への依存度を減らし、再生可能資源に置き換える。
・経済性及び技術的可能性を考慮しつつ、使用された資源を徹底的に回収し、何度も循環利用する。
・プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略『プラスチック資源循環戦略』を策定し、これに基づく施策を進めていく。
【海岸漂着物等地域対策推進事業】
・都道府県や市町村等が実施する海洋ごみに関する地域の計画を策定していく。
・海洋ごみの回収・処理、発生抑制の対策に関する事業に対し、補助金による支援を行う。
難しく書いてはありますがカンタンに言うと、国としてはもちろんのこと、都道府県として、市町村として、また民間としても、
3Rに取り組み、『ゴミを出さない』『繰り返して使う』『再利用する』という事を、 取り組んでいこうという当たり前の話なのです。
◎G20に向けて取り組んできたこと
【2019年G20に向けた国際社会への発信】
・真に地球規模で海洋プラスチックを減少させるという観点から、国内対策の加速化に加え、途上国を巻き込んだ対策・施策を本年のG20に向けて国際社会にも打ち出していく。
・国際社会をリードするため、我が国としては、途上国の発生抑制等地球規模での実効性のある対策支援、地球規模のモニタリング・研究ネットワークの構築等を念頭に、国内対策とも連動させつつ更なる国際連携・協力等の対応策を本年のG20までにとりまとめる。
【プラスチック資源循環戦略の策定】
・海洋プラスチック憲章の内容をカバーしつつ、第4次循環型社会形成推進基本計画に基づくプラスチック資源循環戦略を、本年のG20までに策定。
・7/13に中央環境審議会に諮問。
【海岸漂着物処理推進法基本方針の改定】
今般の法改正やG7・G20等の動向を踏まえ、各種国内・国際施策(実態把握、回収処理、発生抑制、 国際連携・協力)を一層充実・加速化する内容を盛り込み、本年のG20までに改定(閣議決定)。同法に基づく海岸漂着物対策推進会議及び海岸漂着物対策専門家会議において検討。
【各主体を巻き込んだ対策の推進】
・企業、自治体等、幅広い関係主体の取組を更に促すための普及・啓発の推進。
・海岸・沿岸海域における海洋ごみ(漂流・海底ごみを含む)の回収・処理の一層の推進、流域圏での上下流一体となった発生抑制対策の推進。
◎「プラスチック・スマート -for Sustainable Ocean-」 キャンペーン
海洋プラスチック問題の解決に向けては、消費者を始め自治体・NGO・企業などの幅広い主体が、一つの旗印の下に連携協働して取組を進めることが必要です。
このため、『ポイ捨て撲滅』を徹底した上で、不必要なワンウェイのプラスチックの排出抑制や分別回収の徹底など、“プラスチックとの賢い付き合い方”を全国的に推進し、我が国の取組を国内外に発信していくキャンペーンを『プラスチック・ スマート -for Sustainable Ocean-』と銘打って展開しています。
では、実際に私たちが身近に行える取り組みは何でしょうか?
【個人・消費者の取組例】
・ポイ捨て撲滅
・ごみ拾い活動への参加
・マイバッグの活用
・リユースなどプラスチックの有効利用
【自治体・NGO・企業などの取組例】
・散乱ごみや海岸漂着物の回収
・ワンウェイのプラスチックの排出抑制
・バイオマスプラスチックや紙などの代替素材の利用
◎富山県のエコバッグ持参率は全国一位!
以前も取り上げましたが、日本はプラスチックごみをこれまで海外に依存して廃棄物として処理してきました。『1年間のプラスチックごみ発生量(2010年推計)のランキング』が示す上位の国々は、日本がこれまでプラごみを輸出してきた国々です。
日本のペットボトルリサイクル率は84.8%(2017年度)です。これは世界でも最高水準です。スターバックスコーヒーではいち早くプラスチックストローを廃止しました。スーパーのレジ袋有料化は当たり前になり、ようやくコンビニでもエコバッグの利用が推進されています。
日本のエコバッグ普及率は8割を超えました。
先日テレビで放送されていましたが、全国第1位は『富山県』です。
富山県では、今から10年以上前にスーパーなどでのレジ袋の無料配布が廃止されています。たくさんの方がエコバッグを使用し、買い物カゴの持ち込み、商品が入ってきたダンボールの活用により、昨年『エコバッグ持参率95%』を達成しました。
レジ袋の無料配布を始めてから、富山県全体でこれまでに削減できたレジ袋の数は15億枚以上だという事です。富山県の人口でこの数字を生み出したのです。
日本はこれでも環境への取り組みは遅れているのです。それでもG20大阪サミットで共有された目標に向かって、世界のリーダーとして、先頭に立って取り組んでいく必要があります。
私たちは企業の立場からも、また一個人としても、私たちが住む地球の環境をそれぞれが守っていく必要があると考えます。