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『リサイクルの種類』~日本のゴミの量増えている?減っている?~

リサイクル 2019.09.11

◎日本のごみ総排出量

環境省が発表しているデータによると、平成29年度における日本のごみ総排出量は4,289万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は920グラムです。

ごみの総排出量は平成23年度以降微減傾向であり、基本方針でベースラインとしされている平成24年度の4,523万トンを5年連続で下まわっている現状です。

 

昭和60年度の日本のごみ総排出量は4,209万トンで、年々上昇しました。

平成12年度の5,483万トンをピークに、ようやく元に戻せてきているという事になります。

※グラフは環境省HPより引用

 

これは、平成12年(2000年)に、『循環型社会形成推進基本法』が公布された影響が大きく、地球環境問題に向けて、日本が本気で取り組み始めた瞬間ではないでしょうか。

 

日本はどのようにしてごみを減らしてきたのか、そこには『リサイクル』が大きくかかわっています。

 

 

◎リサイクルの種類と方法

『リサイクル』といってもその種類は様々です。

回収される資源の状態や、どのようにリサイクルするかでその方法と名称が異なります。

 

【リサイクルの方法が異なる】

・マテリアルリサイクル

・ケミカルリサイクル

・サーマルリサイクル

 

【リサイクル後の品質の異なる】

・水平リサイクル

・カスケードリサイクル

 

今回取り上げるリサイクルはこれら5つの方法です。

 

 

◎マテリアルリサイクル

『マテリアルリサイクル』とは、使用済みの製品を溶かしたり、砕いたりして、新たな製品の材料として利用することです。

 

「材料リサイクル」「材料再生」「再資源化」「再生利用」などとも言われています。

 

例えば、スチール缶を溶かして鉄鋼にし、新たな鉄製品の材料として再利用します。また、アルミ缶や、紙、ペットボトル、発泡スチロールなども、マテリアルリサイクルされることが多い製品です。

 

マテリアルリサイクルは、工程が複雑で、資源やエネルギーを多く消費するという問題もあります。古紙を再生紙にするには木を切る代わりに別の燃料が必要です。どちらが環境に優しく、無駄がないかを考慮して行う必要性もあるのです。

 

 

◎ケミカルリサイクル

『ケミカルリサイクル』とは、製品を科学的に分解して原料まで戻して再生します。「科学的再生法」とも言われています。

 

例えば、プラスチックを例にしてみると、

『マテリアルリサイクル』は、廃プラスチック製品をプラスチック原料としてプラスチック製品に再生します。

一方の『ケミカルリサイクル』は、廃プラスチックを科学的に分解するなどして、化学原料に再生します。原料に戻されて燃料などとして再利用されます。

 

ケミカルリサイクルの中にも原料まで戻した後に、元の製品として新たに作りなおす場合もあります。その代表例がペットボトルや、ナイロン製の衣類などです。

 

 

◎サーマルリサイクル

『サーマルリサイクル』とは、「熱回収」とも呼ばれています。廃棄物を単に焼却処理せず、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することです。

 

『マテリアルリサイクル』や『ケミカルリサイクル』できない資源や、混ざり合って分別できない状態のものは、『サーマルリサイクル』によって、固形燃料に加工して燃やしたり、焼却して出る熱を発電や給湯に利用したりします。

 

世界の水準(高い国で70%を超える)と比べて日本のリサイクル率(ごみの総排出量に対して、リサイクルされた量のこと)が20%程度なのは、この『サーマルリサイクル』が含まれないからであり、決して日本のリサイクルが遅れているわけではありません。

 

日本の『サーマルリサイクル』の割合は実に70%にも上ります。合わせると90%以上がリサイクルされていることになります。埋め立て地が少ない日本には『サーマルリサイクル』に頼らざるを得ない現実があります。

 

 

◎水平リサイクルとカスケードリサイクル

『水平リサイクル』とは『カスケードリサイクル』は、先の3リサイクルとは異なり、リサイクルの方法ではなく、リサイクル後の品質の違いにより呼び方が異なっています。

 

『水平リサイクル』は、使用済みの製品がいったん資源となり、また同じ製品としてリサイクルされます。

例えば、アルミ缶はアルミ缶に、ダンボールはダンボールに、ガラス瓶はガラス瓶として再生されます。

 

『カスケードリサイクル』は、使用済みの製品を前とは別の製品や、低い品質の製品にリサイクルされます。

例えば、プラスチッ製品を元の製品ではなく「サーマルリサイクル」により燃料にしたり、スチール缶を「マテリアルリサイクル」により鉄鋼として再生したりすることです。

 

 

◎理想のリサイクル、循環型社会とは

ここまでいろいろなリサイクルとその違いを説明してきました。では、どのリサイクルが理想のリサイクルなのでしょうか。

 

使用済みの製品を元の製品に再生する『水平リサイクル』は、「リサイクルの基本」「リサイクルの理想形」と言われています。

使い終わった製品を同じものとして再利用することは同じ資源を何度も繰り返して使うことで資源の節約になります。これは最も効率的なリサイクルという事になります。

 

しかし、世の中には様々な製品が存在し、また消費者のニーズに沿うような製品を販売しようとする場合、必ずしもそうはいきません。それぞれの製品には、その特性に沿ったリサイクル方法を実施しなければいけません。

 

また、理想のリサイクルとは、全て『水平リサイクル』できればいいのかというわけでもありません。リサイクルの工程においては、新しい資源や、電力・燃料などのエネルギーも必要です。

 

リサイクルを考えるうえで大事なことは、リサイクルの効率であり、資源やエネルギーの節約であり、リサイクル後の製品の需要です。どんなものでも、ただリサイクルすればそれでいいというわけではないのです。

 

地球の限りある資源を有効に活用し、資源の使用を抑えてなるべくごみを減らし、環境への負担を軽くします。

 

『リデュース』『リユース』『リサイクル』の【3R】、循環型社会の実現は確実に進んでいます。過去を知り、現在を知り、未来への計画を知ることは、私たち一人一人の行動を変えます。そのような有意義な情報をこれからもお伝えしていきます。

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